ありがとうございます グッピー本店です Technical development for Aquarium.
 

その3(こらむ)

ピンテール

2003/08/12

■ 書いた理由
 最近ピンテールを使って幾つか交配してみていた。 ピンテールという品種がどのような構成で成り立っているのか、 それを解明することを目的としたわけではなく、 ただ単に変わったピンテールを作ってみようかとイジッていた中でわかって来たことについて 覚書として残してみようということで書いています。

公開するのも、また誰かにネタを盗んだような言い方をされても困るので(笑)

■ ピン表現の因子
ピンテールは次の2因子のバランスによって表現されている。
  • 尾先を閉じる因子はメス側から来ている。(2003/09/19訂正:オスからも) ・・・(1)
  • 尾の幅、ピンの伸びは上記因子を取り除いた時の、下地の尾形による。 ・・・(2)
■ 特徴
まず、(1)の因子について、次のような特徴が見られる。
  • この因子をメスから受け継いだオスの尾ビレの上下は、 黒色(野生体色)や赤色(ゴールデン)で縁取られる。 ・・・(3)
  • ソリッドの因子を2っのうち1っでも持っていると、 この因子の効き目は悪く、うまく閉じきれない場合が多い。 ・・・(4)
  • メスがこの因子を持っているか、またはその因子の強弱は 外見では区別できない。(今の所) ・・・(5)
次に、(2)の因子については、次のように考えた。
  • メスからに因る所が大きそうだ。 ・・・(6)
  • 綺麗な伸びをするものの下地は、恐らくダブルソード などのソード系(ライアーテール含む)。 ・・・(7)
  • 尾ビレの幅は、下地の尾開きによる。 ・・・(8)
■ 経緯・予想

 デルタテールオスを使った交配のF1を見ると、ピンテール系統同士と同じような個体の構成 (尾形について)となったので、(6)が考えられた。 ただし、尾ビレの閉じる割合は少なかった。 これは下地にデルタテールの影響の強い個体が居るためだと思われる。

 (7)について、下地が細いソードやソードの間のヒレが少ないものは、 閉じる因子に負けて尾の付け根の角度が狭くなるだろう。 逆を言えば、太いソードやデルタテールのようなものは、閉じる因子の方が負けて、 閉じが悪かったり、ボソボソになるだろう。

ダブルソードでもソードの間が曖昧なものが存在するが、 これらを下地にしても、ボソボソ率は上がると思われる。

■ 高確率での固定は不可能?

 全ての尾形において、尾の大きさは同系統でも様々な要素によって個体差が出る。 つまり、下地がこのような状態では、しっかりピンの伸びたピンテールの固定は不可能。 たとえ出来ても、たまたまバランスの取れた一時の物と思われる。 (まあ、全ての表現についても当てはまるが。)

 イメージとしては、地球の衛星軌道に入った隕石の挙動なようなもので、

  • 突入スピードが速かったり、角度が浅かったりした場合は通り過ぎる。
  • 突入スピードが遅かったり、角度が深かったりした場合は、地球の引力に捕まり、地上に落下。
  • 突入スピード、角度(重量も)のバランスが取れたときだけ衛星軌道に乗る。

 また、下地のソードが揃ったダブルの物は2本伸び シングルや不揃いのダブルのものは1本伸びとなっているのだろう。

■ 作出難易度
 作出の難易度で言えば、下記の条件を満たすものが最も難しいのではないだろうか。
  • 2本伸び。
  • 尾の付け根の角度が広い。
  • ソリッド。
■ 余談
 余談として、オレンジレースラウンドテールコブラは「ラウンドテール」と名称はなっているが、 あれは成長過程で閉じる因子が働いているのがハッキリ見て取れるので、 正確にはピンテール系であってラウンドテールではない。 ラインブリードを繰り返すと、そのうちピンの伸びたものも取れるようになるかも知れない。
■ まとめ
 結局まとまりのない文になってしまった。
 全体として言いたかったのは、
「購入時に”安く済ませたい”事が優先ならば、ピンの伸びたオスに拘る必要はない。」
という事。

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